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佐賀・筑後産業保健事務所企業のための産業医サービス

「産業医との面談は受けたくない」。不眠とミスが続く従業員への対応

不眠と確認漏れが続く従業員が、産業医面談をためらっている。従業員80人の工場の架空事例から、総務と上司の声かけ、嘱託産業医への情報提供、次回訪問日前の相談、現場で実行する勤務調整を解説します。

執筆: 佐賀・筑後産業保健事務所公開日:

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「最近、眠れていないようなので、産業医の先生と話してみませんか」

そう勧めても、「面談は受けたくありません。仕事はできます」と返ってくる。嘱託産業医を選任していても、本人が面談をためらうと、総務や上司の対応が止まってしまうことがあります。

本人への声かけと並行して、総務・上司が産業医に対応の進め方を相談できます。次回の訪問日までに必要な安全措置や仕事の調整も、会社側で進めます。

この記事は、常時50人以上の事業場で、嘱託産業医と連携する人事総務・現場責任者を主な対象としています。産業医の選任義務は、会社全体の人数ではなく、事業場ごとの常時使用する労働者数で判断します。厚生労働省・産業医について

以下の事例・会話・表はすべて架空で、当事務所の実績や実在の相談例ではありません。具体的な手順は、現場で検討するための独自の提案です。

80人の工場。産業医はいるが、本人が面談を断っている

常時80人が働く包装資材工場を想定します。総務は2人で、一人が衛生管理者を兼務しています。常駐の保健師はいません。この工場では嘱託産業医が月1回来訪し、次回は2週間後の予定です。

出荷担当のAさんに、伝票の確認漏れが続いています。上司が個別に声をかけると、「夜に仕事の失敗を考えてしまい、あまり眠れない」と話しました。Aさんは荷役作業でフォークリフトも運転します。

上司は総務に相談し、産業医面談を提案しました。しかしAさんは、「会社の先生に話したら、働けない人だと思われそうです」と断りました。

上司は「断られた以上、こちらからは何もできない」、総務は「次の訪問日にもう一度勧めるしかない」と考えています。

ここで整理したいのは、面談をためらう理由、今日の仕事への影響、産業医へ先に相談する内容です。不眠とミスだけで、会社がうつ病などと決めつけることはできません。不眠には心身の病気や勤務・生活の状況など、さまざまな原因があります。厚生労働省・不眠症

上司は、面談の目的と本人の不安を確かめる

「会社の指示だから受けてください」と説得を重ねる前に、本人が何を心配しているかを聴きます。人前で呼び止めず、業務時間内に、周囲に聞こえない場所を確保します。

「確認漏れが続いていて、眠れていないとも聞いたので、体調が気になっています。産業医との面談で、特にどんなことが心配ですか」

Aさんが心配していたのは、相談内容が上司にすべて伝わり、担当から外されることでした。総務は面談の目的と情報の扱いを産業医に確認し、本人へ説明します。

「面談では、体調と仕事内容を踏まえて、今どんな配慮が必要かを相談します。会社に伝える情報の範囲や方法も、先生から説明してもらいます。面談で何を話すか不安なことも、最初に伝えて構いません」

「何を話しても会社には一切伝わらない」「面談しても仕事は絶対に変わらない」とは約束しません。勤務調整のために共有が必要な情報や、その進め方を具体的に説明します。

産業医面談は、健康と仕事の両面から必要な配慮を検討する機会です。診断・治療が必要なら、医療機関への受診も進めます。不眠が続く場合には、かかりつけ医に相談する方法もあります。厚生労働省・不眠症と受診先

本人が面談を望まなくても、総務・上司から相談できる

厚生労働省の教材でも、産業医等への相談に抵抗がある場合には、本人に伝えたうえで上司自身が専門家へ相談する方法が示されています。こころの耳・相談への抵抗がある場合の対応

この工場では、上司が把握した仕事上の変化を、連絡窓口である総務へ整理して伝えます。総務・衛生管理者は、本人への説明や健康情報の取扱いを確認し、産業医へ相談します。

最初の連絡では、次のように相談事項を明確にします。

「不眠と確認漏れが続く従業員が、会社への情報共有を心配して面談をためらっています。フォークリフト運転があるため、次回訪問前に、当面の対応と本人への説明方法をご相談したいです」

医師が判断するために必要な情報は、例えば次のようにまとめます。

表は横にスクロールできます。

整理する項目 この工場で伝える内容の例
確認できた変化 いつ頃から、どの作業で確認漏れがあったか。本人の申告と上司の観察を分ける。
勤務と作業の実態 始業・終業、休憩、残業、フォークリフトを使う時間帯、急な追加出荷の有無。
本人の意向 面談で何を心配しているか、受診や相談について今どう考えているか。
会社ができる調整 運転の一時見合わせ、出荷時刻の変更、担当変更の可能性と、代替要員の制約。
医師に相談したいこと 対応の緊急性、本人面談の進め方、当面の配慮、追加で必要な情報。

私生活や過去の病歴を広く集めるための表ではありません。まず相談手順を尋ねる段階では、本人を特定できる情報を出さずに相談する方法もあります。ただし、担当業務などから本人が分かる場合には、名前を伏せるだけでは十分ではありません。

個人の健康情報を扱う場合は、利用目的と共有先を整理し、相談先との関係や法令に応じて、本人への説明・同意など必要な手続きを確認します。個人情報保護委員会・健康情報の取扱い

会社側からの情報だけでも、対応手順への助言は受けられますが、本人の健康状態や勤務可否まで確定できるとは限りません。 産業医には、今の情報で助言できることと、本人面談や受診が必要なことを分けて確認します。

次回訪問日まで待てるかを、相談の最初に確認する

「月1回の契約だから、相談も来月まで待つ」と決めず、総務が契約上の連絡先に相談します。電話・メール等での事前相談、面談の前倒し、追加の面談など、利用できる方法と費用を確認します。

訪問日以外の対応やオンライン面談が利用できるかは、契約内容、本人の状態、実施環境などによります。嘱託契約があればいつでも直ちに対応してもらえる、という意味ではありません。

Aさんの場合、総務は次の点を産業医と整理します。

  • 今日の状態と作業内容から、先に確認すべき安全上の問題は何か。
  • 本人へ面談の目的をどう説明し、どの方法なら話しやすいか。
  • 産業医面談を待たず、医療機関への受診を進める必要があるか。
  • 次に誰が本人へ連絡し、いつ状況を確認するか。

強い眠気などで運転を安全に続けられない状態なら、会社はその作業を止め、安全を確保します。産業医の返事が届くまで運転を続けさせる対応にはしません。帰宅時の運転にも支障があれば、安全な移動方法を確認します。差し迫った生命・身体の危険があれば、通常の面談予約より救急対応を優先します。

一方、確認漏れがあったことだけで、一律に就業禁止とするものでもありません。実際の状態と仕事の危険性を確認し、医学的意見を得ながら対応範囲を決めます。

産業医の助言を、現場で実行できる仕事の変更にする

産業医から運転の見合わせや業務負担の調整について助言があっても、「了解しました」と記録するだけでは、現場は変わりません。

この工場には、必要な資格と経験を持つ従業員がほかにもいますが、それぞれ別の荷役作業を担当しており、Aさんの分をそのまま追加できる余裕はありません。工場全体で80人いても、特定の時間帯・作業の交代要員が十分とは限らないのです。

例えば、当面の運転を見合わせる必要がある場合、工場長と出荷責任者が次の対応を検討します。

  • 出荷の枠を調整する:営業担当が取引先と搬出時刻や納期を協議し、同じ時間帯の荷役を減らす。対応できない当日追加注文は、引受条件を見直す。
  • 割り込みを減らす:伝票確認を続けられる状態なら、追加・変更の指示を出荷責任者にまとめる。各営業担当が別々に口頭で依頼する運用を改める。
  • 面談・受診の時間を確保する:総務が本人と時間を確認し、出荷責任者が当日の予定に組み込む。その分を本人の残業で取り戻させない。

取引先との契約、安全や法令上必要な作業・確認は守ります。代わりの人に過重な残業をさせたり、必要な教育・資格がない人へ危険な作業を任せたりする方法は取りません。

産業医には「配置転換は無理です」とだけ返すのではなく、「どの作業なら変更できるか」「何を減らせば調整できるか」を伝えます。費用や納期への影響も含めて検討しても、安全な仕事を確保できない場合は、その限界を共有し、必要な休養や就業上の措置を検討します。

産業医が医学的な意見を述べ、会社が具体的な調整を決めて実施する役割分担が基本です。職場環境を変え、その効果を見直すこともメンタルヘルス対策に含まれます。厚生労働省・心の健康の保持増進のための指針

面談後は、共有する情報と見直し日を決める

面談につながった場合は、会社へ伝える情報の目的・範囲・方法について本人に説明し、必要な同意等を確認します。現場責任者に必要なのは、例えば「当面の運転業務の扱い」「残業や作業量への配慮」「見直し時期」です。面談で話した内容のすべてを共有する必要はありません。個人情報保護委員会・健康情報の取扱い

総務は助言を受けた後、誰が実行するか、本人へいつ説明するか、次にいつ確認するかを短く残します。

記録例:産業医の意見を踏まえ、当面の運転業務を見合わせる。出荷責任者が本日の作業を組み直し、営業が取引先と時刻を協議する。総務が本人へ変更内容を説明し、医師と確認した日に、体調と配慮の実施状況を見直す。

これは運転の見合わせが必要と判断された場合の架空の例です。実際の配慮内容と期間は、本人の状態と仕事に合わせて決めます。

確認するのは、受診・面談ができたかに加え、体調と仕事への影響、助言した調整が実施できたか、同僚の負担が増えていないかです。まだ面談につながっていない場合も、窓口と次の確認日を決め、会社側の相談を続けます。

受診命令の可否や休業・賃金の扱いが問題になる場合は、医学的な必要性、就業規則、具体的事情を整理し、社労士・弁護士等にも確認します。日常の健康相談と、法令に基づく健診・面接指導等の手続きは区別して扱います。

落ち着いてから、訪問日以外の相談方法、面談枠の確保、情報の受け渡し方を契約先と確認します。衛生委員会では、個人が特定されないように配慮しながら、相談体制や業務上の課題を職場全体の改善につなげます。

佐賀・筑後産業保健事務所では、嘱託産業医契約を通じて、職場の状況を継続して把握し、総務・現場責任者とともに必要な対応を整理します。訪問日以外の相談、従業員面談の実施方法、月額に含む範囲と追加費用は、契約時に確認します。

お問い合わせでは、事業場の人数、現在の産業医体制、「面談につなぐ方法に迷っている」などの相談概要をお知らせください。初回の連絡に、従業員の実名や詳しい診断内容を記載する必要はありません。

※資料確認日:2026年10月12日。一般的な情報と架空の対応例をまとめた記事です。個別の診断・治療・就業上の判断や労務の取扱いは、医師・社労士・弁護士等にご相談ください。

参考資料

コラムは産業保健の一般的な考え方を整理したものです。公開時点の情報に基づきますが、法令の解釈や運用は一次資料と専門家の確認が必要です。個別事案の判断には使えません。

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